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創作まとめ

リドリメの話(町の人々の噂話)

リドリメの話を聞きたいだって?
なんだ、そんなことか。



リドリメは、もはや伝説とか作り話とか言われてる突然変異のことだ。
瞳が鮮やかな緑色なのが特徴だ。
先天的にロナニハハやノトコに抗体があるため、その力も影響しない。
つまりそれぞれの呪いにかかることなければ、その恩恵をうけることもない。
だからこの世界では希少価値が高い。
そりゃそうだ。見つかったら、どんなことされるか、わかったもんじゃないからね。

嘗てロナニハハの力を恐れるある国王や富豪たちが、抉った瞳を首飾りにして魔除けにしただとか、生け捕りにして血を飲んだとか、肉を削いで食べたとか、骨を粉にして蒔いたとか、そんな噂がある。まぁ、聞いての通り良い噂はないな。

リドリメが生まれた時。
ロナンの民の親なら子を隠そうとするだろう。見つかれば殺されるから。
ノトコの民の親なら権力者や王に差し出すだろう。生活が優遇されるから。

特に効果が高いのは体液らしいね。血、唾液、汗、涙、それから……まぁ、あんまり気持ちのいいものではないよね。

これら全ては、あくまで言い伝え、伝聞、噂話の域を出ない。
なぜなら最初に言った通り、リドリメが実在するか分からないから。
ロナニハハの呪いに恐れた者やノトコの幸運に妬んだ者が言い出した幻想かも知れない。
これらの話の大元は、古い書物に書かれてあることだから。しかも今では虫食いだらけのぼろぼろな古本だ。そんなの読む奴は、余程の物好きか、イカれた研究者くらいじゃないか?


そんなのを読んでみたいだなんて、あんたも物好きだな。バカでかい、博物館なら、古書としてあるんじゃないか? ただし、保存状態に保証はできないけれど。

ああ、もしくは。
最近ウワサの"貸本屋"なら、持ってるかもな。砂色の布を纏って、大きな赤い鞄をさげた、ぼさぼさ髪で、白蛇を連れてる変わった奴さ。そいつなら、持ってるかもな。
ただし、そいつがどこに居るかは誰もわからない。でも、出会った奴が望む本は、必ず、絶対、持って居るらしい。それがどんな本であろうとも。
まあ、あくまでウワサだけどね。
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