【side_gan】『破壊される想世界の中で、ぼくはきみと同じ痛みを共有する』 en_to_gan 2010年10月04日 0 メモに書いた小話。 ガンとクモの話。 この世界はあとどれくらいもつのだろう。そんなことを考えながら、もう何人もの屍を見て、あぁ、ぼくもいつかこうなるんだろうなと無意識に感じながら、この世界を歩き続けていた。 ぼくがきみを見つけ再び出会った時、どんなに時間が過ぎて姿や形や声が変わっていても、気が付くものなんだな、と自分でも少し感動して驚いた。 きみはぼろぼろになりながら、それでもこの世界で生きようとしていた。 強くて、脆くて、少し変で、だけど自分のやることを信じていたきみは、まだこの世界に生きていた。 「久しぶり」と声をかけたのはぼくで、きみは何も言わずぼくの方を向く。 「誰」 きみがたった2つの「だ」と「れ」の発音を続けて言っただけで、ぼくはひどく悲しくなった。 きみは随分変わってしまったんだ。ぼくも随分変わったけど、きみを覚えていることだけは変わらなかったのに。 「きみがぼくを忘れてしまっても、ぼくはきみのそばにいたい」 きみのそばにいさせてくれないか。 この世界が消える時、きっときみが最後のひとだろう。 この世界を最初に歩いたきみと共に歩いたぼくだから、 せめてぼくの最期には、きみと共にいさせておくれ。 それが今の所、ぼくのいちばんの願いだった。 PR